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2007年10月10日

成蹊大学文学部聴講・「現代社会・メディア産業論」03

成蹊大学文学部聴講・「現代のメディア産業(メディア産業論)」03「新聞(2) 日本の新聞事業」

成蹊大学文学部聴講・「現代社会・メディア産業論」03
ベランダで咲く関西嫁菜の可憐な花。

 家のベランダで関西嫁菜の花が咲いた。昨年咲いた花の姿を再び目にして感激する。庭先にはキンモクセイ、ギンモクセイの香りのいい花、ハナミズキの赤い実も見える。
 午後家を出て五日市街道を西に向かった。道の向こうの店のガラス窓に大きな魚拓が飾ってある。いつも見過ごしていたが、あらためてよく見るととても大きな魚拓である。しまあじ、マハタ、もろこ、紅アコウ、真鯛などの名前が目を引く。

成蹊大学文学部聴講・「現代社会・メディア産業論」03
五日市通りで、店の窓に賑やかに並べられた魚拓。

 ケヤキ並木道を通って正門に近づくと、正門の上に大きな横看板が出ていて、四大学運動競技大会の文字が見えた。

成蹊大学文学部聴講・「現代社会・メディア産業論」03
正門の上の看板に、四大学運動競技大会の文字。

 情報図書館の前を通り、中庭の向こうの10号館の赤い壁にキンモクセイが映えているのを眺めながら9号館に向かう。

成蹊大学文学部聴講・「現代社会・メディア産業論」03
10号館の赤壁をバックに映えるキンモクセイ。

 202室にはまだ学生がたくさん残っていたので5階まで上がり、窓から周囲しばらくを眺めていた。
 202号室に入ると持参した「生物と無生物のあいだ」福岡伸一・講談社現代新書 1891 を読む。しばらくして目を上げると黒川次郎講師が現れていて、いつものようにカバンから取りだした資料を2枚机の上に並べた。学生と一緒に順番に並んで資料を取ってくる。
 講義は最初のプリント「新聞(2) 日本の新聞事業」から始まった。
「新聞(2) 日本の新聞事業」

* 新聞ジャーナリズムの病状(青木彰「新聞との約束」「ジャーナリズムの
  昨今、今日、明日」)
   $ 産経新聞社会部長。編集局長。
 1.言論機能の低下
   $ 2つの流れ(朝日、東京、毎日)、(読売、日経、産経)。これ
     は歓迎すべきである。しかし実りのある論争はない。
 2.ニュース源依存の客観報道主義が生んだ”発表ジャーナリズム”の横行
   $ 記者クラブ発表資料。情報操作の恐れ。
 3.特種競争の逆現象として生じた横並び、画一的な”パック・ジャーナリ
   ズム”の氾濫
   $ わっと群がる。
 4.”自社ジャーナリズム”(”企業ジャーナリズム”)がもたらす独善と視野
   狭窄
   $ 終身雇用制。
 5.誤報・虚報・やらせなど報道倫理の低下
 6.人権・プライバシー侵害。逆に過度の自主規制による事実報道の不徹底
   (匿名報道主義)
 7.収益第一主義の企業体質、コマーシャリズムの優先による取材・報道力
   の鈍化
 8.ニュース源との癒着、情報操作の可能性など記者クラブ制度の危険な側
   面の露呈
 9.パターン化、硬直化した記者の思考が招く読者不在
10,ジャーナリスト魂の希薄化
   $ 宅配中心(読売、朝夕あわせて1000万部以上)家庭紙。
   $ 新聞ジャーナリストの自由は与えられたもの(昭和21年)。
   $ テレビの影響力を当初見抜けなかった。

* 日本の新聞ーーその体質(桂敬一「現代の新聞」、今西光男「新聞 資本
  と経営の昭和史」)
   $ 朝日新聞東京政治部長。朝日新聞筆政・緒方竹虎の苦悩。
 ・ 記者クラブ制度の弊害
   「戦時体制で確立した記者クラブ」(今西光男)
 ・ 戦時新聞統合の影
   「新聞統合」(1942)
     →全国紙ーーー「朝日」「毎日」「読売」。経済・業界紙ーー東京
     「日本産業経済」(現「日経」)大阪「産業経済」(現「産経」)
     →ブロック紙ー「東京新聞」「大阪新聞」「北海道新聞」「中部日
      本新聞」(現「中日」)「西日本新聞」。
     →残りの地方紙はすべて「1県一紙」。(37 年には 355 紙)
   「戦後に継続された戦時体制」「新聞にとって「戦争」は終わっていな
    い」(今西光男)
   「日本の新聞社に、戦前と戦後の断絶は存在しない」(佐藤卓己
   「メディア社会」)→「朝日」(夕)4.3、4.4
   $ 佐藤卓己:京大の若い学者。

 ・ 高度成長と画一体制
   広告媒体としての淘汰→有力紙の強化・拡充→一県一紙化の進行、県紙
   の消失など
   高度の普及と画一性ーー巨大部数の全国紙、高度の普及⇄欧米の新聞
  (高級紙、大衆紙の併存)
 ・ 販売競争の加熱と広告収入への依存
   一世帯一紙の普及構造(戦時統制下にほぼ完成)→誌面の画一化と販売
   競争の激化
   62 年 広告収入が販売(購読料)収入を上回る。
   高度成長時代に合致した広告料金体系とその誌面への影響、誌面製作の
   技術革新と画一化。

 ・ 収益追求と事業の多角化
   日刊紙の株式譲渡制限に関する特別法(1951)→文化事業としての新聞
   事業→関連事業も当初は社会福祉事業など→次第に収益追求へ→「日本
   の野球史は、新聞社によるメディア・イベントの歴史」(佐藤卓己)
   $ 1951 年、株式の譲渡制限を会社の定款に書き込めるように法律化
     した。

* ジャーナリスト教育(花田達郎・廣井脩編「論争 いま、ジャーナリスト
  教育」)
   $ 花田達郎:現早稲田大学教授。
 ・ ジャーナリスト教育大学院 School of Journalism の意義
   $ ジャーナリスト教育:コロンビア大学などでは 100 年以上の歴史
     がある。IT ジャーナリストも育てている。日本には実践的ジャー
     ナリストを育てるところがない。
参考文献
 青木彰「新聞との約束 戦後ジャーナリズム私論」(日本放送出版協会
     2000)
 桂敬一「現代の新聞」(岩波新書 1990) 今西光男「新聞 資本と経営の昭和
     史」(朝日選書 2007)
 佐藤卓己「メディア社会」(岩波新書 2006) 春原昭彦「日本新聞通史 四訂
     版」(新泉社 2003)
 花田達郎・廣井脩「論争 いま、ジャーナリスト教育」(東京大学出版会
     2003)
 帰りは東門から成蹊東門通りに出て吉祥寺公園通に向かった。四軒寺交差点をわたり女子大通りに入る。

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吉祥寺公園通り、女子大通り、成蹊東門通りが出会う四軒寺交差点。

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女子大通りで、戦前からある柔道場・鈴木道場。

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女子大通りで、緑青色の屋根の宝飾工房・青銅。

 しばらく歩いて宮本小路を右折しすぐ左折する。武蔵野第三中学校の校舎を左に見て法政通りに突き当たると右折し帰路についた。

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